隣のブルーバード
 それでも、好きな人がいるというだけで、学校に行くのが楽しくなり、毎日が充実した。

 今日は廊下で挨拶してもらったとか、部活中に会話が交わせたとか、そんなたわいもないことで、一喜一憂していた。

 でも、時は無情に過ぎてゆく。
 それから約1年。

 インハイを最後に先輩は部活を引退し、校内で会うことも減り、そして半年後、とうとう卒業の日を迎えた。
 
 式が終わったあと、卒業生とのお別れのため、水泳部員一堂、プールサイドに集まった。
 顧問の先生の挨拶や、部長の挨拶が終わり、2年代表が記念品と寄せ書きを渡して、解散となった。

 でも名残を惜しんで、みんな、なかなか帰ろうとしない。
 
 人気者のスグ先輩の周りには、卒業生や在校生が幾重にも取り巻いていて、挨拶すら交わせそうになかった。
< 17 / 68 >

この作品をシェア

pagetop