隣のブルーバード
 そう思って、ふたりのほうに行きかけたとき、他の卒業生の男子がふたりの噂をしている声が耳に入ってきた。

「あいつら、付き合うことにしたらしいぞ。どっちも東京の大学行くしな」
「くそっ、田所、うまいことやりやがったな。学年一の美形、捕まえるとは」

 佐川先輩とスグ先輩が……

 その瞬間、あまりにもあっけなく、わたしの初恋は終わりを告げた。

 やっぱり、遠い世界の人だった。
 手が届くはずのない。

 そのまま、ふたりに声をかけずに、わたしはプールを後にした。

 もう、これっきり会うことはない、そのときは、そう思っていた。


 それが6年後、そのスグ先輩の実家の花屋さんでバイトをすることになるんだから、先のことなんて、本当にわからない。
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