隣のブルーバード

第6章 沙希24歳、2月14日

 12月からの数ヶ月間は、イベントが目白押しなので、花屋は掻き入れどきで大忙し。

 あわただしく日を過ごしているうちに、クリスマス、お正月はあっという間に過ぎ、今日はもう2月14日。

 スグ先輩と杏子さんの結婚式の日となった。
 
 今、式の真っ最中。

 杏子さんが手にしているカサブランカのブーケはわたしのアレンジ。
 白を基調とした、優雅な曲線を描くクレセント・ブーケ。
 
 上品で清楚な雰囲気がウェディングドレスにピッタリで、我ながら上出来だと思う。

 ドレス姿の杏子さんは、ため息が出るほど美しかった。

 その横で、スグ先輩は花嫁に見とれて蕩けそうな顔をしている。

 そんな彼を見ても、もう嫉妬心はまったくわかなかった。

 わたし、先輩からちゃんと卒業できた。
 これから先はなんのわだかまりもなく、ただの高校の先輩後輩としていられる。

 それがわかっただけだも、出席した甲斐があった。
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