恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 昨夜美鈴を抱いてはっきり自覚した。
 俺は彼女が好きなんだと――。
 美鈴も多分俺が好きだからこそ、身体を許してくれたのだろう。
 美鈴が愛おしくて、そのリンゴのように赤く色づいた唇にそっと口づけたら、彼女が目を覚ました。
 目が合って「おはよう」と笑って挨拶したら、彼女が少し安心したような顔をして挨拶を返す。
「おはよう」
「身体、辛くない?」
 初めてだったし、痛かったはず。
 美鈴の身体が心配で尋ねたら、彼女はハッとした表情をして俺から目を逸し、ボソッと答える。
「大丈夫」
 顔がほんのり赤い。
 恐らく昨夜のことを思い出して恥ずかしがっているのだろうが、距離を置かれているようであまり面白くない。
「美鈴、なんで俺を見て言わないの?」
 美鈴の顔を覗き込むと、彼女は両手で自分の顔を隠す。
「だって……恥ずかしい」
「昨日はあんなに大胆だったのに?」
 クスッと笑って美鈴をからかったら、彼女は激しく動揺して声を上げた。

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