恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
木村くんや菊池さんに昨日絢斗となにかあったんじゃないかってバレないだろうか。
顔にいろいろ出てしまいそう。というか、すでに顔が熱い。
ポーカーフェイスなんて無理だよ。どうしよう~。
 ひとりこの状況にドギマギしていたら、木村くんに背中をポンと押された。
「芹沢さん、エレベーター来ましたよ」
「あっ、うん」
 慌ててエレベーターに乗るが、ヒールのかかとがエレベーターの隙間に挟まってそのままバランスを崩して倒れそうになったところを絢斗に助けられた。
「君、大丈夫?」
 彼が私を抱きかかえてクスッと笑うが、私は全然笑えなかった。
 恥ずかしくて顔から火が出そう。なにやってるのよ、私! 
 心の中で自分を叱咤しながら絢斗から離れる。
「す、すみません」
「危ないから気をつけて」
 絢斗に優しく注意され、しゅんとしながらもう一度謝った。
「はい、すみません」
 エレベーターでは生きた心地がしなかったし、乗ってる時間もいつもの十倍長く感じた。
 
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