人から聞いた話 パート2

胸糞な話(閲覧注意)


 僕が中学生になったばかりの話です。
 うちの親戚は、正直極端なまで、二分化しています。
 簡単に言えばヤンキーかオタクしかいなくて、リア充がいないのです。

 シャイな僕は、オタクサイド。
 大体、うちの男たちは、北九州で育ったこともあり、(僕個人の先入観です)血気盛んな男が多いです。
 悪く言えば、短気です。

 いとこに、年の離れた超のつくヤンキーのお兄ちゃんがいました。
 年下の僕たちには優しく接してくれましたが、地元ではかなりの有名人だったとか。
 それぐらい荒れた家庭で育ったもので。
 ヤンキー兄ちゃんの妹。芋ちゃん、(仮名)も結構、苦労したようです。

 芋ちゃんは僕より、三歳年上のお姉ちゃんで、この時まだ女子高生になったばかり。
 男子のいない女子高に通っていました。

 芋ちゃんは、よく我が家へと遊びに来ていました。
 大きくなった僕と少し大人の話もしてくれるようになり、恋愛話も語ってくれました。
「ポケベル持ってるから、いっぱいメッセージ送りたい」とか。
「女子高だから、出会いが少ない。つまらない」とか。
 僕は中学1年とはいえ、子供っぽかったので、話を聞いていても、意味がわかりませんでした。

 ふと、僕は思いました。
 それは芋ちゃんの中学生時代です。
 共学の中学校なら、好きな人がいたのでは? と思ったからです。

「ねえ、芋ちゃんは中学の時に誰かを好きになったりしなかった?」
 すると、芋ちゃんは、苦い顔をします。
「えぇ? うちの学校? 地元でしょ?」
 すごく嫌がっていました。

 その反応を不思議に思った僕が
「どうして?」
 と訊ねると……。

「うちの中学校って子供っぽい奴が多いっていうか……ヤンキーが多いんだよ。だからちょっとねぇ」
 実のお兄ちゃんが不良だからこそ、嫌っているようにも見えました。
「そっかぁ……でも、中にはいい人とか、いたでしょ?」
「うん……いたはいたけど……なんかさ。この前の春休みにさ……見たんだよね」
「なにを?」

 芋ちゃんが言うには、中学校を卒業して。
 あとは高校入学まで、暇だったらしく、女友達と地元で遊んでいたそうな。
 とある公園で、ベンチに座り、女子トークで盛り上がっていると……。

 目の前の噴水に、薄っぺらいダンボールを、地面に一枚ひいた老人を見つけました。
 老人はホームレスさんだと、すぐに気がついたそうで。
 なぜかと言うと正座して、膝の前に
『お恵みを……』
 なんてメッセージが書かれたプレートを置いていたからです。
 空き缶を置いて、小銭を待っていると。

 近くから、ヤンチャそうな金髪の少年たちが数人、こちらへ近づいてきます。
 ジュースを飲みながら、談笑していて。
 芋ちゃんは彼らを地元の同級生だと気がつきましたが。
 少年たちは芋ちゃんよりも、老人に興味がわいたそうで。
 ズカズカと噴水の前まで、近づき……。

 持っていたジュースを、老人の前で、わざわざ全て飲み干し、見せつけます。
 そして、飲み終えた空き缶に、大量の唾を吐き出すと、ソレを老人に目掛けて、力いっぱい投げつけ……。
「おいっ! 飲めっ!」
 と脅したそうです。

 僕はそれを聞いて、ビックリしました。
「なにそれ!? お金じゃないじゃん。しかも、ジュースを渡すならまだしも……」
「ね? だから地元の同級生にはあんまりいいイメージがないんだよ」
 まあ、これについては、いとこである芋ちゃんの環境もあったと思うので。
 一概に、言い切れないと僕は思っています。

 この話を聞いて、僕は続きが気になります。
「ところで、その唾が入った缶はどうしたの?」
「え? 缶のこと?」
「うん。もちろん、おじいさんも捨てたよね?」
 芋ちゃんは真顔で答えます。
「いや。飲んだよ」
「えぇ!? ウソでしょ!?」
「本当だって。相手が不良だから怖かったんだと思う。目の前で睨みをきかしていたから『ありがとうございます』って律儀に頭を下げて、全部飲んでた」
「なにそれ……」
 あまりの鬼畜ぶりに、僕は言葉を失いました。

 その少年たちは、遊び感覚でやったことなのでしょうが、同じ人間として、許せない行為です。
 どうか、その後のおじいさんが、穏やかな日々を過ごせるように、ただ祈るばかりです。

   了
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