アイドルが彼氏になったら

34.幸せの実感

愛する人からどんなに君を愛しているか
説明される事くらい幸せな事はないだろう

今にもあふれそうな涙をこらえ
向かいの彼を見つめる

彼が突然薬指に別の指輪を付けた
贅沢なスクエアカットの大きな一粒ダイヤ
結婚指輪だとすぐにわかった


どうしてこれがここにあるの?
いつ私の指にはまったの?
彼はなにをしているの?

”僕と結婚してください”

女性なら一度は夢見る言葉を

私の愛する男が発している

混乱して頭がパニックになっていた
別世界で起こっていることのように
すべてがスローモーションで

返事をしていても別の人が言っているような感覚だった

夢みたいな事が起こっている 


でも

住む世界の違う人と一生を共にできるのだろうか
それによる苦しみと戦っていけるだろうか
その覚悟があるだろうか
愛さえあれば乗り越えられるのか

答えのでない問いが頭を駆け巡る


 「出ようか」

ユジュンが出した大きな手に
自分の手を重ねる

彼の手にすっぽりと包まれ
熱い体温を感じた瞬間、


フッと、憑き物が落ちたように

不安だったことがどうでもよくなり

愛されている実感が

膜を破って大量にやってきた


「私、あなたを幸せにしたい

あなたがそう思うよりずっと

強く思ってる」

彼をまっすぐに見つめた

 「まいったな、ナミにはかなわない」

私の頭にキスをして、
手を取り歩き出す


大きな背中、力強い腕、迷いのない歩み


私この人に精一杯愛されるんだ、
そう決めて涙を拭いた
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