目の上の義母(たんこぶ)
2、急な訪問
「…ねぇ、翔平。今日の夜、…時間ある?」


朝食のとき、向かいの席でスマホをいじる翔平に話かけてみた。


「今日の夜?なんかあったっけ?」

「うん。もうすぐ排卵日みたいだから…」


わたしがそこまで言うと、翔平は小さなため息をついた。


「…疲れてなかったらな」


それだけ言うと、朝食のトーストを押し込むように頬張り、まるでこの話から逃げるように着替えに行ってしまった。


…はぁ。

ため息をつきたいのは、こっちだ。


毎日の基礎体温の記録と、今朝の排卵検査薬の結果からすると、おそらく今日か明日に排卵予定だ。

だから、タイミング的には今日がベストのはず。


それなのに、当の翔平はあんな感じ。


『この日!』と言われると、やる気が削がれるんだとか。


…その気持ちもわからなくもない。
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