明日はキミのために泣きたくない。

◇明日は君のために泣きたくない。




 数年後─︎─︎……

「千紘〜! おめでとう!」
「あ、朝陽っ!? 迎えにきてくれたの?」
 今日は大学の卒業式。
 この前、入ったばかりだと思ったのに月日が経つの早いなぁ。
「うん、今日は休みだからね。謝恩会まで時間あるでしょ?」
「まぁ、確かにあるけど……まだ菜央と亜樹に会ってないんだよねー」
「そっか、俺近くのコンビニで待ってるよ。いろいろ終わったら連絡して」
 朝陽は来た道を戻って行った。
 そういえばあの後、菜央や亜樹と山内さんの後押しもあり私と朝陽は付き合い始めた。
 菜央には「良かったね」と言ってもらえて、
 亜樹も「おめでとう」と言って貰えた。

でも、別れた直後にはいろいろあって……。
“人気者の亜樹を振って、違う男と付き合った”
という噂がたったからか結構イジワルされたりした。
 まぁ、当たり前だし仕方ないなと思ってたのに……
『俺から別れを告げたんだ、今まで千紘に無理言って付き合ってもらってたんだ。俺は……千紘が笑っててくれたらそれでいいからさ。イジワルするなら、俺にしてよ』
 亜樹がそう言ってくれて、すぐに収束した。そんな姿がカッコよく見えたのかまたまた人気は上昇した。
「おーい!千紘〜」
「あれ? 2人一緒だったの?」
 過去に耽っていると、探していた本人達がやってきた。
「菜央も亜樹も……どこいたの? 探してたのに」
「私たち、席が近かったから」
 なるほど……そういうことか。まぁ、ホールはデカいし見つからないかぁ。
「そうだ! 千紘にご報告です!」
「……?」
「俺、彼女出来たんだー」
「えっ! 本当!? おめでとう!」
 亜樹、彼女できたんだ。良かった……亜樹には本当に幸せになってほしいって思ってたから嬉しい。
「ありがとう……あ、千紘も婚約おめでとう」
「あ、ありがとうっ」
 私は、先月……記念日に朝陽にプロポーズされて婚約した。
「遂に千紘も人妻かぁ〜」
「人妻って……言い方……」
 入籍はしたけど、まだ結婚式はしないんだけどね。
「今日は、朝陽さん来てないの? いつもなら迎え来てるじゃん」
「あ、さっきまで一緒にいたけど……コンビニで待ってるって言ってた」
 連絡、しなきゃ……。
「そうなの? じゃあ連絡しなよ、後で私らは謝恩会でも会えるし……朝陽さん待ってるんじゃない?」
「そ、そうだねっ! じゃあ、また後でね」
 二人と別れて、スマホの電話帳を開き【朝陽】を探した。
『もしもし、朝陽?  今からコンビニ向かうよ』
『了解、待ってる』
 大学近くのコンビニ、いつもの待ち合わせ場所。
「朝陽っ! お待たせ!!」
「……っと……危ないだろ」
 朝陽が見えて周りのことも気にしないで私は、思い切り抱きついた。
「へへっ……ごめんなさい!」
「まったく……早く乗って、着替えに帰るんだよな?」
 彼がそばにいてくれる。隣にいてくれるそんなことが本当に幸せだって思う……。
「うんっ! ねぇ、朝陽……」
 前はちゃんと、好きだって伝えることが出来なかった。自分の傷痕のせいで、朝陽を縛っていたって思ってたから。
 だけど……今、大切な人が目の前にいる。
 朝陽も想いを伝えてくれる……なら、私は、声を大にして言うよ。
「朝陽のこと、大好きだよっ!!」
「ははっ……知ってる。俺の方が好きだけどな」
 朝陽と手を繋ぎ、握っている手を見ると朝陽がプロポーズしてくれた時くれたエンゲージリングがキラキラと光っていて……それは、幸せの象徴みたい。
「幸せだなぁ……」
「もっと幸せにするから、誰よりも……」
 あの日、私は消えない傷を負った。
 そのおかげで朝陽を好きになって、付き合えた。でもその傷痕のせいで、朝陽とすれ違ってたくさん泣いた。
 だけど、幸せな日を迎えるための苦しくて辛かったことがあるんなら、良かったのかなって思う。

 だからね、朝陽。
 これからは、毎日伝えるね……もう、キミのために泣きたくない。キミを想って泣きたい。
 朝陽のことが好きだよ、ずっとずっと……愛してるから。
「愛してるよ、千紘」
 朝陽は私にキスをする。それは今までで1番って言ってもいいほどに甘かった。
「私も朝陽のこと、愛してるよ」





  fin.



























< 87 / 87 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:45

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
  「と、倒産ってどういうこと……⁉︎ 」 今の会社で働いて三年目の春、いきなり倒産しました。   タイミング悪く、家もなくなって……。   もう絶望的だ…と思っていたのに、救世主現れました⁉︎     ⑅︎∙︎˚┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎˚∙︎⑅︎        一文無し元OL 朝比奈 美唯 Miyu Asabina × igarAshiロジスティックス・専務取締役      五十嵐 麗央 Reo Igarashi ⑅︎∙︎˚┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎˚∙︎⑅︎     「君、住み込みで仕事しない?」 ……え??    条件が良すぎて、騙されたと思ってついていけば…… 「朝比奈さん、ここサインして」 彼に差し出された紙は……婚姻届⁈   「まずは三ヶ月、お試し期間ということで」  試用期間三ヶ月なのに毎日甘い言葉を囁く彼にドキドキしっぱなしで……。  私に気がないはずなのに……なんでこんな、   「美唯は、俺の奥さんでしょ?」   同居だけだと思ったのに……結婚だなんて。   「俺が嫌なら突き放して、美唯」  突き放すなんて出来ないよ、だって私……   ─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎─︎君のことが好きになっちゃったんだもん。 2020.05.18〜   \ベリカにてオススメ掲載していただきました!/
獅子の御曹司は、契約妻を手放さない。

総文字数/4,414

恋愛(その他)1ページ

スターツ出版小説投稿サイト合同企画「第2回1話だけ大賞」ベリーズカフェ会場エントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
 「――三年間、俺のパートナーになれ」  突然差し出されたのは、恋人でも結婚でもない、  “契約”という名の関係だった。   *** 高瀬 結衣(たかせ ゆい) 法律事務所で働く、ごく普通の人間の女性。 病に倒れた家族の治療費を工面するため、三年間限定の「契約パートナー」という危険な選択をする。控えめで自己主張は得意ではないが、大切な人のためなら自分を犠牲にする強さを持つ。 冷たい言葉の裏に隠れた蓮の不器用な優しさに、少しずつ心を奪われていく。 一ノ瀬 蓮(いちのせ れん) 大手不動産開発会社の若きトップ。獅子種の純血。 完璧で冷酷、誰にも心を許さない男として恐れられているが、その裏では“唯一無二の番”に出会えないことへの強い焦りと孤独を抱えている。 契約と理性で感情を抑え込もうとする一方、結衣の前では独占欲と不器用な甘さを隠しきれなくなり、二人きりの時だけ弱さを見せるようになる。 ***      触れない。      踏み込まない。   それが、私たちのルールだったのに。   夜の控室で見せた、抑えきれない苛立ち。 誰もいない場所で向けられる、不器用で優しい視線。   「離れるな」  その言葉が、契約以上の意味を帯び始めたとき――   私は気づいてしまった。   この人のそばにいたい、と。
表紙を見る 表紙を閉じる
  ずっとずっと家に引きこもっていた   学校に行ったことないし、遊んだことない。   外の世界なんて知らなかった私の前に現れたのは……お父様が連れてきた“婚約者”だった。    ◌˚ ˳ ⌖*୨୧┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎୨୧* ⌖ ˳˚ ◌      社長令嬢・引きこもり     五十嵐 美央 Mio Igarashi × 御曹司・次期社長候補?     倉橋 哉斗 Kanato Kurahashi ◌˚ ˳ ⌖*୨୧┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎୨୧* ⌖ ˳˚ ◌   屋敷以外の人と話したことがなかった私がいきなり婚約だなんて……無理だとずっと思っていた。   『俺は毎日来る。まずは友達から始めよう』   哉斗くんは毎日毎日来てくれた。   たくさん外の世界の話をしてくれて、全てが新鮮で楽しかった。   私は自然と惹かれていったんだ。          開始▶︎2021.5.16       完結▷2022.6.27       修正▶︎2022.7.11   素敵な表紙絵は月兎なつめ様に描いていただきました♡  ※ 今作には病名が出てきますが、実際とは違ったり、個人差があるので、フィクションだと思ってお読みください。  

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop