モテ男が私に溺愛?
 講義後、道場で空手を練習し、帰ろうとした。もう、大学はサークルをやっていた人たちぐらいしかいない。

 山崎くんが現れた。
「なんでいるの?」
「待ってた。今日、バイト?」
「ううん。今日は休み。」
「じゃあ、飯食いに行こうよ。
 昨日のお礼。」
「うん。」
 素直に返事をした。

「いつもはツンツンしてるのに、今日は、穏やかだね。」
 その言葉に、やっぱりイラついた。

「はあ?いつも穏やかです。帰ります。」
 プンっと外方を向き、歩き出した。

「ごめん。冗談。怒らないで。」
 山崎くんは、必死に私を宥めようとした。

 私は、プッと笑った。
「え?」
「山崎くんの反応面白い。」
「何それ。俺真剣だったのに。」
「ごめんごめん。怒らないで。」
 私は、山崎くんの背中を、ポンポンと叩いた。
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