私を見て、私を愛して
「だってあの最低男、私にゆか子を食事に誘うなって言ってきたのよ!」

「え?そうなの?なんで?そんなこと、いつ言ってたの?」

ゆか子は気になって矢継ぎ早に聞いた。

「ゆか子がお手洗いに行って、ふたりだけになったときに言われたの。ゆか子たちは同棲してたでしょ。それでゆか子がいなかったら俺の食事が困るとか、夜にご飯食べに行ったら男がいるからダメだとか。同性の友達付き合いまで管理しようとするなんて……」

「……そうだったんだ。ごめんね。京香にそんなこと言ってるって知らなくて……」

ゆか子は京香に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

それと同時に、親友にひどいことを言った元カレに怒りが込み上げる。

(信じられない。京香にひどいこと言うなんて!)

京香に嫌な思いをさせていたことに気づかなかった自分にも嫌気が差す。

元カレと付き合っていたとき、京香にやんわりと別れた方がいいと言われたような気がする。

きっとゆか子が傷つくと思って、はっきりと言わなかったに違いない。

「いいよ。もう別れたんだから。それにあんな最低束縛亭主関白男と結婚までいかなくてよかった。もし結婚するって言われたら全力で止めようと思ってたし。もう過去のことなんだから、あいつのことなんか忘れちゃいな。」


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