私を見て、私を愛して
すぐに真剣な表情でゆか子の目をじっと見つめてきた。

「結婚してください。」

呆気に取られたゆか子は言葉に詰まった。

(待って。待って。全てが早すぎる。)

「えっ……待ってください。そもそも私たち付き合ってないですよね?」

「はい、付き合っていません。」

洋樹はリングケースを持ったまま、真剣な表情で答えた。

「ではなぜ婚約指輪を?」

「付き合うなら結婚前提だとお互い言っていたので、本気が伝わるかなと思いまして。まぁ、多少結婚が早まっただけで困りませんし。」

なんてことないように言った洋樹に驚き、絶句した。

洋樹の言葉に戸惑ったが、ゆか子はなんとか気持ちを持ち直して洋樹を見た。

「っ、待ってください。洋樹さんは他の女性と会ってますよね?」

洋樹が首を傾げる。

誰のことを言われているのかわからないようだ。

もしかすると、ゆか子が先日見た女性の以外にも、懇意にしている女性がいるのかもしれない。

「私、見たんです。洋樹さんが女性といるところを。」


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