私を見て、私を愛して
「洋樹さん」

「はい、大丈夫です。わかってます。付き合う前にプロポーズしておいて信じられないかもしれませんが、あなたに付きまとったりしませんから。本当にだいじょ「付き合いましょう。」」

「え、あっと、どこにですか?」

「交際しましょう。」

「本当ですか!?」

洋樹は食い気味に聞いてきた。

今度はしっぽがちぎれんばかりに揺れているのが見えた。

「はい。でも結婚はまだです。指輪はしまってください。」

「……はい。」

最初は素敵な人だと思っていたが、実は洋樹は変な人だった。

そんな人と付き合うこと自体おかしなことだが、ゆか子には洋樹が可愛く見えてしまったのだ。

見えないはずのしっぽが見えてしまうほどに。

(やっぱり私は男運もないし、男を見る目もないのかもしれない。でも、彼がかわいく見えたんだから、しょうがないよね。)

そうして交際に発展し、数年後、再びプロポーズを受けてゆか子は洋樹と結婚した。



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