私を見て、私を愛して
いつから残業の連絡が遅くなるようになったのだろう。

仕方がない部分もあるだろうが、ゆか子に対してほんの少しでいいから、早めに連絡することでほんの少し誠意を示してほしかった。

怒りというよりは虚しさだろうか。

(……私のことを蔑ろにしないで。)

以前はこんなことはなかった。

まだ結婚する前、2人が交際していた頃はよく連絡を取り合っていた。

退社後にデートの約束があれば、退社予定は何時か、今退社した、ちょっと残業で30分ぐらい遅れる、今着いた、などの連絡をしていた。

結婚してからも、何時に帰宅できそうか毎朝朝食を食べながら話していたし、今から帰る、残業になったという連絡は続いていたはずだ。

(待たされる方の気持ちを少しは考えてよ。)

一体いつからこうなってしまったのだろう。

今まで気づかないように必死で隠してきた事実に目を背けることができなくなってしまった。

ゆか子は携帯を手に取り、メッセージを送る。

もちろん相手は洋樹ではない。

「これでよし。」

メッセージを送るとすぐに既読がつき、返信がきた。

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