私を見て、私を愛して
「そうだよ、親友だよ。」

「私たちって親友だったの?」

京香は本当にわかっていなかったみたいだ。

ポカンと口を開けている。

「そうだよ!違うと思ってたの?」

「だって親友だって言ったこと、一度もないじゃない!」

「言わなくてもわかるでしょ!ずっと一緒にいて、これからも一緒にいたいと思ってて、なんでも相談できる相手なんだから。」

ゆか子は親友だと言ったことはなかったのかもしれない。

親友だと意識する機会は少なかったのかもしれない。

それでも親友は誰かと聞かれれば、京香だと答えただろう。

「京香は私のこと大切でしょ?」

ゆか子は自惚れではなく、本当にそう思っていた。

「うん、大切……」

「私も京香のこと大切なの。だから私の大切な京香のこと、京香も大切にして?」

「……でも……」

「京香は私の親友で大切な人なの。だから自分を大切にしてくれる人を大切にして。私の……私の大切な人を軽く見ないで!いい?」

珍しく厳しい口調のゆか子に驚いたように目を見開いたが、京香は静かに頷いてくれた。

「……ありがとう。」



< 96 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop