月下の恋人…missing
溢れそうになる涙をこらえながら、じっと見つめると
『ごめん………』
はっとしたようにうつ向いて、ママは唇を噛みしめた。
゛はいはい。二人とも今日はもうこれで終わり、ね。゛
見かねた光彦ママの気づかいに甘えて、耐えきれずに自分の部屋へ駆け上がる。
「絶対に行かない……」
絶対に行かないんだから…
込み上げる悲しさを紛らすように、それだけを思って膝を抱えて呟く。
突然降りだした雨は、強くなる一方的だった。