お嬢様は完璧執事と恋したい

 歳の差があっても身分差があっても、どうしても手に入れたい。諦めたくないから必要な手段を考え、策を講じて確実に実行する。

 澪は朝人の望みを知らなかった。自分の気持ちと彼の気持ちが一致していることに、全く気付いていなかった。

 それも当然だろう。朝人は己の気持ちを誰にも知られないようにひた隠し、完璧な執事として振る舞うことで、父にも澪自身にも内心を悟られないようにしていたのだから。

「今の私は、まだお嬢様の想いには応えられません。ですが、いつか必ずあなたを手に入れます」

 だが本心は違った。手に入れたい、諦めたくない。恋する気持ちは、澪と同じだ。

「え……えっ、と」
「さて、澪お嬢様? まさかこれだけ私を振り回して、散々悩ませて煽っておいて、今さら拒否なんてしませんよね?」

 想いは同じはずなのに、初めて感じる朝人の本気の視線と強い口調に気圧される。澪の目を見つめて妖艶に微笑む表情に、なにやら底知れぬ執着を感じ取る。

「それに一史のおかげで、良い交渉材料を得ましたから」
「ん? 僕?」
「同じ年齢の一史がお嬢様の結婚相手として旦那様に認められるなら、俺を拒む理由を年齢のせいにはさせない。これで不安要素は一つ消せた。まぁ、まだまだやることは山積みだけどな」

 後半は澪に向けての言葉だろう。魅了するようでいて絡めとるような口調と視線に、思わず震えてしまう。朝人が少し動くだけで、身体がピクッと身体が反応する。彼の本気は――澪には少しだけ危険な気配がした。
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