貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
離してはまた塞がれて、を繰り返され、さすがにクラクラしそうだ。隙を見て創ちゃんの胸を押すと、残念そうに息を吐いた。

「今までできなかったぶんもしようと思って」

シレッとそう言われて、私は「そんなこと考えてたの⁈ 創ちゃん、実はムッツリ……」とつい、余計なことを言ってしまう。そんな私に少しムッとしているようだ。

「悪かったな。これでも俺は我慢してたんだ。与織子は結構隙だらけだったしな?」
「なっ! 隙って! だいたい、いっちゃんに変なことするなって言われてたじゃない!」

私が言い返すと、創ちゃんは不本意と言いたげに少し眉を顰めた。

「別に……してないだろ」
「えっ? これで? 唇腫れそうなのに?」

私が目を丸くしつつ返すと、またクスクスと笑われる。

「まぁ、そうだな。でもこれくらいはさすがに一矢の想定内だろ。これ以上先に進んだら殺されそうだが」 

これ以上先……? と思い浮かべて、夜ドラマを見ていたときのお茶の間の様子が頭を過ぎる。あれだ、ベッドシーンと言われるやつ。始まった途端、お父さんが真っ先にチャンネルを変えてしまうあれ。
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