貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「あ、そうだ」

不意に、さっき見かけた綺麗な人を思い出して私はスマホを手にする。確か……バレーボール選手のミオ様って言ってたな、と思いながら検索してみると、すぐに出てきた。

枚田(ひらた)(みお)さん。30才。3年前に怪我が元で現役引退。それまでは全日本の選手にも選ばれててオリンピック経験もあるセッター。所属していたプロチームは……。

「えっ? 旭河本社?」

私が見たことあると思ったのは、きっとテレビでなんだと思う。それにしても、まさかこんなところで接点があるなんて。と言っても、私はしがないグループ会社なんだけど。
いっちゃんは知ってるのかな?と思ったけど、本社は本社でたくさん社員がいるだろうし、そもそもスポーツ選手と交流があるのかもわからない。

また聞いてみよ、と思いながらスマホを置くと次のケーキを口に運ぶ。今度は苺のタルト。さっきのも美味しかったけど、これも絶品だ。

一人ニコニコ笑いながら頬張っていると、いっちゃんが戻って来た。なんだかさっきより難しい顔をして椅子に座ると、もうすっかり冷めた紅茶を流し込んでいる。

「いっちゃん? どうしたの? 何かトラブル?」

会社では部長をしてるくらいなんだから、休みの日だって仕事の連絡が入ることがあるかも知れない。心配になってそう尋ねると、いっちゃんは深い溜め息と共に口を開いた。

「次の見合いの日程決まったから。5月3日だ」

私はそれを聞いて目を丸くする。

それって……。来週の火曜日、だよね?
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