貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
結局お昼休み中、ずっと主任は私のお喋りに付き合ってくれた。私の作る、と言うか実家で食べるご飯はうちで採れた野菜がメイン。私の一番得意料理は大根の煮物。しかも、その大根自体私が育てたものだ。
主任はそんな話を、仕事の手を止めはしなかったけど、時々笑みを浮かべながら聞いてくれていた。

なんか、意外だな。

初めて会った時は、無愛想でなんとなく怖かった。でも、知れば知るほどいい人だな、って思う。それに、色々な人に頼られてて、いつも親身になってそれに応えている。

明日のお見合い相手、どんな人かわからないけど、せめて主任みたいな良い人だといいな。

そんなことを思いながら午後からも仕事に励み、そしてなんとか時間までに請求書の山は片付いた。

「じゃあ、これ総務課に出しに行ってきます」

箱に積められた封筒の束を持ち上げようとすると、主任は立ち上がる。

「俺が行ってくる。朝木は休憩してろ」

そう言うが早いか、ちょっとズシってした箱を軽々と持ち上げて主任は行ってしまった。
時間は3時前。総務課の郵便発送の締め切りは3時だからギリギリだ。きっと、清田さんがしてたら半分の時間で終わってたんだろうなぁ、と思うけど、初めての封入作業に悪戦苦闘したのも事実だ。

間違いないように気を使ってたせいか、動いてたわけじゃないのに意外と疲れた。主任が帰ってきたら甘い飲み物買いに行こう。そんなことを考えながら机の上を片付けた。
< 88 / 241 >

この作品をシェア

pagetop