青い星を君に捧げる【弐】
《side.黒鉄慎》

俺たちの通う翔陽高校では、2年次に修学旅行がある。そして行き先は現在の蘇芳聡太郎理事長になってから一貫して決まっていた。


「ねーえー、波瑠と連絡つかないんだけど…大丈夫かな?」


「ここ数日会ってないが、まさか忘れてるわけじゃないよな」


彼方のスマホを覗いて言った。学校集合で今は空港。ここで間に合わなければ修学旅行は置いていかれる。


「…波瑠さんなら家の用事で来れないって連絡きてるぞ」


人数確認するために後ろまで歩いてきて通りかかった高田屋(担任)がきょとんとして言う。‪それに青龍幹部2年生組の俺、彼方そして下っぱ代表の優は顔を見合わせる。(一年の杏里・剣斗は留守番)


まあかなり急な決定で慌ててたからなぁ、と言い残して離れていく高田屋。


そして引率の蘇芳理事長を先頭に翔陽高校2年生は修学旅行先へと向かう飛行機に乗り込んだ。


『Good morning, ladies and gentlemen.
Welcome aboard Japan Airlines flight 770 to “Beijing”.』


_________
_____
__

「僕ひっさびさに飛行機なんて乗ったよ…疲れた」


「彼方さん検査に引っかかってましたもんね」


無事中国、北京に着いた俺たちは迎えのバスの1番後ろの席でぐったりとしていた。日本からは近いがやはり疲れる。

今日はホテルに荷物を置いた後、自由行動の予定だ。俺たちもどこか適当に歩くか…と話していれば理事長に呼び止められる。


「お前らは別な!」


「えっ?!」「はい?」「……」


ロビーのソファに座っていた理事長は今まさに出ようとしている俺たちにニコニコしながら話す。


「青龍幹部とか下っぱの中でも偉い奴には特別プログラムを用意してありまぁす」


「特別ってなになに!?楽しそう!!」


食いつく彼方に理事長はニンマリ。なんだか面倒事に巻き込まれそうで俺と優は顔を見合わせた。


「全員素顔を隠すために仮面をつけて参加する、愛蔵渦巻く夜の社会。行くでしょ、仮面舞踏会(マスカレード)



そして俺たちは今夜、普通の舞踏会も行ったことないのに、マスカレードに参加することになる。
< 57 / 154 >

この作品をシェア

pagetop