島津くんしっかりしてください
茶化されて終わるのは癪だし、先輩のテンションに合わせてみるか。






「こんにちは、鹿島先輩。今日も無駄にかっこいいですね。イケメンの無駄遣いって言葉がこの世界で最も似合うと思います。流石ですね」







息で言い切ると、先輩は王子様スマイルを一瞬で崩して、ぶはっと吹き出した。







「言い方~。イケメンの有効活用だっての」



「普通にしてたら普通のイケメンなのに、有効活用したせいで腹黒と呼ばれるのはどうお考えで?」



「普通じゃつまらんでしょ~異端を踏みにいかないと」







相変わらず飄々とした態度。



やっぱりこっちの方が私としてはやりやすい。






「……というか。なんで先輩がいるんですか。補習とかですか?」



「違うし。言っとくけど俺優等生キャラだからね~赤点とか取らないの」






まぁ、そのせいで面倒事に巻き込まれたんだけど、と遠い目をする先輩。



私は首を傾げた。






優等生キャラで損をするなんて……何があったんだろう。






早く続きを言うように促すと、先輩は大きなため息をつく。






「まー簡単に言うと、文化祭実行委員長を任されたっつーことですよ」



「……あーなるほど」






確かにそれはひどい。



確かに優等生キャラをしていると、先生に頼まれることはたくさんある。






だけど、それは基本教材を選ぶのを手伝って、だとかこの資料をあの教室に運んで、だとか小さなことばかりだ。






それに比べて……とても面倒臭いとされている委員会の委員長を任されるなんて、ご愁傷様としか言いようがない。






成仏してくださいと手を合わせると、ぺしんと軽く頭を叩かれた。






とはいえ、それは髪を揺らす程度の優しいものだったけど。






流石鹿島先輩。



学校での擬態は完璧な模様。






「……あ、そういえばさ~」



「はい?」



「誠ちゃん、陽平と喧嘩でもした?」



「……」






私は笑顔を顔に貼り付けて、首を傾げた。






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