島津くんしっかりしてください
「……じゃあ私、先に帰ってるねっばいばい」









小さく手を振って、踵を返して走り出した。
















頬が、熱くて。







これ以上島津くんを直視できる気がしなかった。









さっきの島津くんと同じくらい、ううん。




それ以上に、赤いんだと思う。
















「……いっ…ちゃった……」





ゆるゆるとしゃがみ込んで、呻くように呟く。









漏れた息さえも熱くて、そのくせ時折頬を叩く風の冷たさが現実なんだと思い知らせてくる。















……今日、私が告白したのは、私が島津くんを幸せにして見せるという意思表示のようなもので。






私は、今からなんだ。









ここから、私と島津くんの物語が始まる。








主演は私と島津くんの二人で。









他の端役が舞台にあがることなんて、許さない。









自ら助演に成り下がることなんて、二度としない。









私は、私自身の手で、主演をつかみ取るんだ。









自分の手で、ハッピーエンドまで。
















たとえ、どんなに時間がかかったとしても。













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