私の彼氏はクラスで一番、
9月、はらはら席替えタイム。


高校の席替えって、あったりなかったり。そのクラスの先生によってバラバラだ。

そして、私たちの先生はというと──。


「七葉!」

「里香ちゃん!」


二人、顔を見合せて、ハイタッチ。

里香ちゃんは持ってきた荷物を机に置きながら、ニコニコ微笑んだ。


「まさか七葉の後ろになれるなんて、ラッキーすぎ」

「ねー!」


夏休みが終わり、二学期が始まって初めてのLHR。

そこで突然行われた席替えで、なんと里香ちゃんと前後の席になれたのだ!


「私はてっきり、先生は席替えとかしないタイプなんだと思っちゃってたよ」


そう笑うと、私も、と里香ちゃんが肩を竦める。

教室内はまだザワついていて、私はそっと廊下側の遠く離れた席に視線を向けた。

窓側、前の席の私たちとは対角線上の、一番離れた廊下側の後ろの席。

そこが、阿久津くんの席だった。相変わらず周りにはお友達が集まっている。


(席、離れちゃったなあ)


元々近くも無かったけど。

皆の中心で席に座り、頬杖をつく阿久津くんは、どこかつまらなさそうな顔をしていた。


< 94 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop