ほどけるいと。
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「何飲む? 三ツ星サイダーでい?」

「里美はカフェオレでしょ?」    



ポチポチと順番に,自分のじゃ無いものを押す。



「里美,ほんとに好きな人,いないの?」



里美が好きになったら,大抵の女の子は1発だと思う。

もう…19だよ。

そうゆう事に興味が無いわけでも無いだろうに。

浮いた話なんて聞いたことがない。

…私も,別の意味で無いけど。

なんたってそもそもモテないんだから。

告白なんて経験,1度もない。

私が好きなのは里美だけど,それはそれで悲しいというか…



「いないよ」



ピンとこない鈍感な里美は,キョトンと首を傾げた。



「じゃあ……ずっと私にだけ優しい里美でいてねっ…」

「え? どうゆう…里桜!」



私はガコンと落ちてきていたジュースを持って,駆け出す。

良かった…! まだ大丈夫。

里美の1番は私。

あはははっ

と,私の笑い声が,コンクリートの道に響いた。

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