ほどけるいと。

すきのまんま

~高3~


「琴音」



柔らかく,落ち着く声。



「ん…」



この声,流雨…?

私はゆっくりと体を持ち上げて,閉じた目蓋を開けた。



「流雨,どしたの?」



教室には,誰もいない。

流雨がただ,私の机上に両手を乗せて,顎を乗っけていた。

…ちかい。

綺麗な双眼が,じっと私を見ている。

その内自分も眠くなったのか,ゆっくりと目を閉じて,顔を傾けた。

その距離で,私の寝顔見てたの?

かっと頬が赤らんで,私は静かに椅子を後ろに引く。



「部活,早めに切り上がって。LI⚪E既読つかないから,もしかしてって思って」



言われて確認すると,『まだ学校にいる?』とメッセージが届いていた。
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