猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め



ちょっとだけ気分が上がった私は、駅に向かっていた足の方向をくるりと変えて店の方に向かう。


その途中のことだった。



「いやっ、……や、やめてください……」



怯えたような女の子の声が聞こえた気がした。

辺りを見回して声の主を探すと、私が通うのとは別の高校の制服を着た女の子が、派手な服を着た、金髪と赤髪の男の人たちに手をつかまれたり肩を組まれたりしていた。



「いーじゃんいーじゃん。暇なんでしょ?俺らが遊んであげるって♪」


「いや……」


「住沢高校の制服だよね~。頭良いんだ~。でもさー、そんなにスカート短くした上に化粧までしちゃってるってことは、勉強に疲れて遊びたい気分なんでしょ?おれらが相手になるよ~。可愛がってあげるからさ」




女の子は明らかに嫌がっているのに、それに気づいていないのか、それとも気付いた上でしつこく言い寄っているのか。

通りすがりの人もちらちら見てはいるものの、関わりたくないというように目を逸らして去っていってしまう。



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