猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め



「っ……」




そんな私と目が合った柳沢くんの表情が、何故か固まってしまった。




「どうしたの柳沢くん?ちょっと顔赤いし。気分悪い?」


「は……は?違っ……」


「あ、もしかして……実は高いところ苦手だったとか?」


「違う!これは……あれだよ……。西日!西日が眩しかったから驚いたのと顔が赤く見えただけだ!」


「あ、そっか。確かに結構眩しいね。景色も楽しんだし、そろそろ下行こっか」



言うほど眩しくない気もしたけど、景色を十分満喫したのは本当なので、エレベーターの方へ向かって歩く。


今日、何だかんだで楽しかったな。「お互いを知るためにデートをする」という目的通り、柳沢くんのこと色々知れたし。



……ただその柳沢くんはというと。

私の隣を歩きながら「まさかこれは……」「いや、でもそんなはず」「認めない。俺は認めない」といった意味不明なことを、ショッピングセンターを出て、駅近く別れるまでぶつぶつ呟き続けていた。



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