愛される女の恋愛テクニック

　現在(いま)に至る。


「らいさまの予想ってどんな感じだったの？」

「二回くらい会社で偶然会ってちょこっと話す程度だな」

「残念ながら、うちの会社は偶然会ったりしちゃうような所じゃないんだよね。現に今までだって、櫻庭さんとは休憩室でたまに会うくらいだったし」

「デカい会社だから？」

「それもあるし、うちの会社って始業時間とかお昼休みの時間が、部署によってちょっとずつ違ったりして。わたしが働いてるビルで唯一全部の部署の人が会うのって受付の人くらいじゃないかなあ」

「だったら、その『櫻庭さん』に会えたのは運命かもしれないぞ？」

「へ？」

「他の部署の人間と会う機会が少ない会社で、休憩室でそこそこ会う相手に惚れられたんだ。運命の相手じゃないか？」

「まあ――そうかも」

「お？　認める？」

「だって、出会いなんて全部運命でしょ？　出会う運命。そう教えてくれたのは、らいさまじゃん」