愛される女の恋愛テクニック

変わり始める日常


 高いビルが建ち並ぶ、所謂(いわゆる)ビジネス街という場所に、わたしが勤めてる会社がある。


 多岐(たき)にわたって事業を展開してるその会社は、高層の自社ビルを三棟隣接して建て、ビル(ごと)どころか、同じビル内でも階によって事業内容が違うという手広さを持つ、大企業。


 その中の、アパレル事業の営業一課で事務をしてるわたしの職場は、第三ビルにある。


 第三ビルには、五つの事業部門が入っていて、櫻庭さんがいる技術開発部も同じビル内にある。


 ただ、わたしと櫻庭さんとでは仕事をしてる階が違うし、手掛けてる事業も違うから、廊下でばったり会うなんて事はない。


 少なくとも、今までは一度も会う事がなかったし、わたしは櫻庭さんが働いてる階に行った事もない。


 だから、月曜日の夜に食事に行ってから週末の今日まで、櫻庭さんには会わなかった。
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