愛される女の恋愛テクニック

過去の話


 会社の最寄り駅の地下にある肉バル。


 ローパーティションで仕切られた店内の奥の、いくつものテーブルをくっ付けた席。


――嗚呼、らいさま。


 その席の端の方に座るわたしの、テーブルを挟んだ向かい側に。


――鼻ピアスの人がいる……!


 人生初の生で見る鼻ピアスの人は、思ってた感じじゃなかった。


 鼻ピアスをするくらいだから派手な感じの人かと思ってたのに、目の前にいる人は鼻ピアスをしてる以外は至って普通。


 黒髪で、細すぎるって思うくらい痩せてて、服装は無地のシャツにジーンズで。


「……これってどういう飲み会なんですか?」
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