恋人は幽霊

初めての食事

陸が何でもかんでもカゴに入れるから、夢香は自分の買いたい物を我慢した。
「そうだ、これからは毎日僕がご飯を作ってあげるからね」
「あなたにそんなことができるの?」
「できるさ、やっと君に出会えて君の為にしてあげられると思うと、幸せで仕方ない」
「私、頼んでないわよ」
「君は僕に従えばいいんだ」
夢香はまた頭がパニックになる。
毎日この男と一緒にいなければならない、この男の言うことは絶対なのだ。
誰かに相談したくても、こんな話信じてもらえないだろう。
私、幽霊と暮らしている。
笑われておしまいだ。
買い物カゴを持ってレジに進んだ。
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