【短編】保健室の常連客

「みんなで掃除かぁ。偉いねぇ。大掃除なんて、最後にしたの数年前だよ」

「ええっ、そんなにしてないの?」

「うん。俺、おじいちゃんとおばあちゃんと住んでてさ。足腰に負担がかかるから、大々的な掃除がなかなかできなくて。ごちゃごちゃしてるんだよね。あ、俺の部屋はちゃんと片づいてるよ」



可愛らしい笑顔で付け足した広川くん。


仲良くなって丸1年。

大学生のお兄さんがいて、一緒にバスケを習っていたとか。
手先が器用で、裁縫と料理が得意だとか。

これまで、趣味や特技、好きな物の話しかしてこなかったから、この系統の話は初めて聞く。



「確かに、重いものを運ぶと腰にきそう」

「そうそう。それで去年、おじいちゃんが腰痛めてた。1週間くらい補助してたな~」

「1週間も⁉」

「うん。でも、お礼にお小遣いもらったからラッキーだったよ」



共感すると、さらに詳しく話してくれた。

にぎやかで楽しそうだなと思ったけど……その分気を遣ったり、お世話しないといけないのか。
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