【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
【最終章】生涯を共に…


早いもので小笠原さんとこの奇妙な関係を始めてから二か月半が経つ。

そう。今日は出版社QEDの創立記念パーティーがある日だ。
あれから私と小笠原さんの甘い同居は続いている。小笠原さんのおばあ様にも会って、今までの状況を全て話し嘘をついていたことを謝った。

交際を許してもらえないかと覚悟していたけれど、おばあ様は最初は驚きつつもすぐ優しい笑顔で私を受け入れてくれたのだ。

香菜さんとお兄さんはあれからたくさん話し合い、一からまたお付き合いをすることになった。結局は、自分達が思っていることをちゃんと伝え合っていなかったのが原因なのだ。

小笠原さんはもう大丈夫だって言うけれども、たぶんまだ完全には心の中から香菜さんはいなくなっていないと思う。

一年一緒にいたのだからすぐに忘れることは無理だろう。……だから私が少しずつその想い出を上書きしていくしかない。

ずっと一緒にいて、楽しいこといっぱいして、二人の想い出を増やして……

小笠原さんが完全に香菜さんを忘れるまでは、香菜さんみたいな結婚(・・)というものはないと漠然に思っていた。

天井を見つめながらベッドの中でそのようなことを考えていると、隣で寝ていた小笠原さんがゴソゴソと動き出した。

「……ん、片桐さん?起きてたの」

そう言いながら布団の中で私を包み込むように抱きしめてきた。私もギュッと抱きしめ返す。

「なんか、今日の創立記念パーティーのことを思うと少し緊張しちゃって。夫婦としてのお披露目はなくなっちゃったけれど、そもそもパーティー自体出るの初めてだから」

「そんなに気負わなくても大丈夫だよ。人気の作家さん達も来るし色々勉強にもなるんじゃないかな」

「そうですね。それにビシッと決まったカッコいい小笠原さんも見れますしね」

そう言った私はこの幸せを噛みしめながらニッコリと微笑んだ。
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