若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「それは……どれもおいしかったけど」

「ならひとつずつもらおう」

「えっ――」

慶はスタッフを呼びとめ、これとそれと、と気軽にオーダーしていく。

美夕はこんなに買って大丈夫なのだろうかと蒼白になりながら見守る。

しかし、そんなことを尋ねては金融王の嫁はケチだなんて悪評が立ちかねない。

シャンパンをいただいていると、ようやくドレスのカタログが出てきた。スタッフの背後には大量のハンガーラックとドレスのサンプル。

「最低でも三セットは新調したい。オーダーメイドのものと、揃いのブランドのもの――美夕はブランドの希望などはあるか?」

美夕はぶんぶんと首を横に振る。

社長令嬢からすっかり庶民派に鞍替えした美夕は「安いもの!」と声高に訴えたいところではあるが、そんなことをすれば慶に恥をかかせてしまうので、口にチャックをした。

「なら、彼女を中心に見立ててもらえるか。彼女のドレスに合わせて俺のスーツを決める」

「承知いたしました」

フォーマルなもの、カジュアルなもの、フェミニン、キュート、セクシー、様々なコンセプトのドレスが寝室に運び込まれた。

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