若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「どうして、あのとき、抱いてくれなかったの?」

涙声で尋ねると、慶は動揺したように喉を鳴らし、苦悩の表情を浮かべた。

「それくらい、わかれ」

美夕の目尻を指先で拭い、体を重ねる。

温かな慶の素肌が、官能とともに美夕の体を包み込んだ。

「大事だからに、決まってるだろ」

ぼんやりとした頭で慶の答えを聞き、目をつむる。あの日、美夕は拒まれたのではない。守られたのだ。

愛されていた――実感が湧いてくるとともに、慶のことを強く抱きしめたい、抱きしめてもらいたいと愛おしさが溢れ出てくる。

「慶……」

大きく手を広げ、自身の体へ慶を招き入れた。きゅっと抱いて、もう離すまいとしがみつく。

慶は求めに応え美夕を激しくかき抱くと、ようやく男として、夫として、妻の体に愛を注ぎ込んだ。



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