若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕が出社すると、オフィスはちょっとした騒ぎになっていた。美夕のデスクの周りを見たことのない社員が囲んでいる。

「北菱さん! 久しぶり、週刊文嶺編集部の廣田(ひろた)だけど、覚えてるかなあ?」

「はい、お久しぶりです」

あまり関わりのない部署で、正直記憶がおぼろげだったが、よくよく思い出してみれば、新人歓迎会で軽く言葉を交わしたような気もした。失礼がないように挨拶を返す。

「昨夜は驚いたよ。名字でまさかとは思ってたんだけど、ご主人があの北菱慶さんだったなんて」

「驚かせてすみません」

「いや、それなんだけどね」

廣田が身を乗り出す。美夕はなにを聞かれるのだろうとハラハラしながら応じた。

「調べてみたんだけれど、北菱慶さんってパートナーの情報を公にしてないんだよね。今後公表する予定なら、ぜひうちから記事を出せないかなって。もちろん、プライベートな部分には気をつけるし、好意的な記事にするからさ」

「あ、ええと……夫も会社の方でいろいろと準備をしているようなので、相談させていただきます」

「よろしく頼むよ! あ、これ、俺の番号」

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