若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕の中で、慶のあらゆる不可思議な行動が線で繋がった。

なぜ慶は花嫁教育が不要だと言ったのか。北菱家から離し、こんな場所でひとり暮らしを命じたのか。

なにがあっても折れるなと念を押されたこと。自活できるように鍛えろと言った、本当の意味。

「……慶は私が犯罪者の娘だから、ここに閉じ込めたのね」

妻が犯罪者の娘では、体裁が悪すぎる。こんな嫁は表に出せないと、慶も、その両親も判断したのだろう。

汚いものに蓋をするかのように、この小さなマンションの一室に軟禁した。結婚を公にしていない今なら、隠し通せる。

「美夕さん……」

桐江の悲痛な声も、父親の逮捕を報じるニュースのアナウンスも、美夕の耳には届かなかった。


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