雷鳴に閉じ込められて
「萌黄殿、久しぶりでござるな。最近顔を出してくれなかったから、フツノミタマノツルギも寂しがっておったでござるよ」

背後から声をかけられ萌黄が振り向けば、そこには甲冑姿のタケミカがいた。フツノミタマノツルギが鞘から飛び出し、萌黄の周りを飛ぶ。数ヶ月顔を出していなかったというのに、この場所は全く変わらない。

「タケミカ様……」

タケミカの優しい笑みを見ていると、萌黄の胸が苦しくなっていく。それは形となり、目から零れ落ちていった。泣き出してしまった萌黄を心配するかのように、フツノミタマノツルギが擦り寄る。タケミカも萌黄に近付き、訊ねた。

「萌黄殿、一体何があったでござるか?拙者で良ければ話していただきたい」

「実はーーー」

萌黄は泣きながらタケミカに縁談のこと、殺人事件のことを話していく。その時、萌黄の視界に一本の木が映る。その木は黒く焦げてしまっていた。萌黄の目線に気付いたのか、タケミカが「ああ」と言いながら説明する。
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