夏ラムネ
もともと蘭野は頭が良い。
一年前の入学式では、新入生代表で前に出て挨拶をしていた、らしい。
もちろん知り合う前の話だから、そこまで覚えていないし、その日は緊張で増した体調不良に耐えることだけで精一杯だった。
…それで?
暑いはずの夏の日、一日中まとわりつく「暑い」はどこかに消えて、頭の中は真っ白になる。
今日言うの?
だって、まともに話したのなんて今日が初めてに近いのに。
好きって信じてもらえる?
どう、したら…
「───ほら、好きな人同じだった」
「…ら、んの?」
「俺は片良瀬が好きだよ。結構前から、好きだった」