スキナダケ
夕海達が立ち去っていったほうを見たけど、二人の姿はもうどこにも無くて、
周りを見渡してもクラスメイト達も居ない。

知らない人達ならこんなに行き交ってるのに、
この街だけでも窮屈なくらいの人間が存在してるのに、なんでハナは一人ぼっちなんだろう。

あぁ…。また、一人ぼっち。

みんな当たり前に一番大切な人がいて、みんな誰かの一番好きな人なのに、

ハナは違う。
誰の一番でもない。

誰かの一番大切な人になれる人間と、なれない人間。
ハナはなれない。

みんなハナを羨ましがるし、チヤホヤしたり、仲良くなりたいって顔をするけれど、それは自分のステータスの為だって分かってる。

一番一緒に居たい人、大好きな人、大切な人、失くしたくない人。

そこにハナは選ばれない。

たった一人、ハナが一番大事な人にさえ。
何をしても、成し遂げても、
ハナは選ばれない。
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