スキナダケ
「パパ、燃やしたら骨はちょーだいね」

「どうすんだよ」

「一生大事にするよ。一生ね。二度と離さない」

私はもう一度、私の意思で焼却炉に入って、汚れたハナちゃんにキスをした。

陶器のお人形にキスをしてるみたいだった。
冷たくて、私の知らないハナちゃんの感触。

どんなに綺麗な華もいつか朽ち果てる。
潤いは失せて華は散って、孤独に生涯を終える。

でもハナちゃんは美しいままだよ。
君が死んで、支配していた孤独を忘れて、未来を失くした君を、私は愛してる。

私だけの君を。

あー、ハナちゃん。本当に最高だよ。

これからは私がハナちゃんの意志を受け継ぐからね?

ハナちゃんが最期に私に残してくれた傷。
傷、傷、傷!!!

あああああなんて美しいの!!!
これから一生、私はこの傷と生きていくのね!
誰も持っていない、この穢れと一生!

幻が見えた、気がした。
私の左腕を掴むハナちゃんの手の平。
微笑む美しい顔。

ずっと一緒だよ。
ずっと。傍に居てね。
ずっと、ずっと…。

焼却炉から出た。
風が冷たくて、身震いした。

「パパ!早く病院連れてってよ!」

「お前なぁ…病院っつたって、こんな時間にそんな格好でか?」

「どこでだっていいわよ、あるでしょ、パパならどこでも!」

「お前、それもう手遅れだろ?」

「そんなことはどーでもいいし、いいの、コレで。ハナちゃんが私を愛した証拠よ。羨ましい?」

「バーカ」

「はいはい。せめて腐んないようにはしたいじゃない。お願い」

パパが溜め息をついて、焼却炉も振り返らずに歩き出した。
男の人達も後を追う。

私はもう一度、ハナちゃんの顔を目に焼き付けた。
彼氏がぶら下がってるはずの木は見なかった。

ゆっくりと焼却炉の蓋を閉める。
重い鉄製の扉が鈍い音を立てながら、ハナちゃんを閉じ込めた。

孤独に咲いた美しい殺人鬼は、この世界から消えた。
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