スキナダケ
殺人鬼の恋は需要ゼロ
高校生になって初めての夏休みがやって来た。
初めて人を殺してから二年が経っていた。
この夏休み中にハナは十六歳になる。

夏休み初日。
起きたばかりでまだ体も起こさずにベッドの中でスマホをイジっていたら、ノックもせずにお父さんが部屋に入ってきた。

「おい、華楽の休み中、ガキ一人増えっから」

「え?ガキ?」

体を起こしてから手櫛で髪をといた。
ショートカットだし、うんざりするくらい直毛のハナの髪はあんまり絡まない。

癖っ毛の子には羨ましいがられるけれど、そろそろちょっと伸ばしてみたいし、ふわふわのパーマも憧れる。

中学生の時もたまに女性の服は着てたけど、高校生になって制服を着なくなってからは、その頃よりも女性の服に興味が出てきた。

学校は髪型も自由だし、あの頃よりも気持ちが窮屈じゃなくなったからだと思う。

でも、高校生になってから身長が急に伸びた。
もう少しで百七十センチを超えそうだった。

そうなったらモデルさんみたいなかっこいい女性像を目指すか、それとも「綺麗な男性」にメーターを振り切るか。

ハナはまだ自分が何者なのか分からなかった。
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