キミの恋のはじまりは
え…?


と思うよりも早く、泉の腕の中に閉じ込められる。

ぎゅっと抱きしめられ、髪に泉の息遣いを感じれば、早鐘を打つ鼓動が全身を支配する。



「ちょっ、な、」



いままで感じたことがないほどダイレクトに泉の熱が伝わってきて、抜け出そうと身を捩れば、腕にさらに力を込められる。

胸に押し付けられた頬や耳に聞こえる大きな鼓動は、私たちどちらのものなのかわからないくらい隙間なく触れている体が熱い。



「…逃げないで」



泉の掠れた呟きにどうしたらいいかわからなくなって。



「お願いだから」



切なげに聞こえたその声が湿っているような気がして。



「……俺じゃ、だめ?」



どくんっと大きな音を立てた心臓の音は、きっと私のものだ。


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