キミの恋のはじまりは

episode 3



◆ ◆ ◆




足先の感覚がなかった。

5月とはいえ雨上がりの湿ったアスファルトは冷たくて、靴下に染み入った雨水が私の足の感覚を奪っていた。

靴下がどろどろに汚れて色を変えていたけれど、そんなことどうでもよかった。


お母さんになんて言おう……。


私の頭の中は親への言い訳を考えることでいっぱいだった。


新しい学校。新しいクラス。……予想通り、私は馴染めなかった。

転校して1ヶ月。靴を隠されるのはもはや日常的な出来事で、探し出すのも楽勝になっていたと思ったのに。


やっぱり泉がいないと見つからない……。


< 57 / 277 >

この作品をシェア

pagetop