flying dolphin
退院の10日前 病室で

萌華(アキラ。。突然 こんなこと言うと驚いちゃうかもしれないけどさ ちょっと聞いて欲しいんだ)

アキラ(なに? どうしたの?)

萌華(・・・ あのね、 わたしアキラと出会って13年。。。ホントにあんたのお陰で どうにか元気で楽しく 今まで生きてこれたんだと思う。)


(わたし達は お互い暴力団の父親をもち かたち違えど父親と離れ離れになった者同士)


(母親は居るけど父親が捕まったり 命を落としたり、世間では お騒がせの家庭に生まれ あの事件が起きてからと言うもの 当時5歳のわたしは幼くも世間の風当たりが厳しいことを知った。アキラもだよね。。。)


(だから わたし毎日が辛くて辛くて 誰も信用できなくて、わたし以外の人がみんな幸せに見えて、、
みんな幸せなくせに なんで意地悪なんだろう?って 思ったりもして、、
いつもいつも わたしの目に映る空の色は どんよりしてた。。。)


(わたしの毎日には神様が晴れた日なんて与えてくれないんだと思ったくらい。)

(でも アキラは わたしより ひとつ年下なのに
幼い時から 頼もしくて強くて、何より優しかった。。。)

(そして アキラのお父さんのお陰で わたしの家は女2人でも家計的にも恵まれて、
彦名さんまでが わたし達の面倒をみてくれ 困ることはないように生活もできた。)


(でも わたしの幼き日に傷付いた心の闇は本当に消えることがなかった。。。(涙)

(アキラと歩んで アキラが大好きになって アキラの存在が有難かったのに(涙)

(それなのに、このまま アキラと居て将来 結婚することになったとしても アキラと居る限り わたしにはパパが居なくなった時から わたしの心にまとわりついた闇は永遠に消せる気がしなかったの。。。(涙)

こんな言い方してゴメンね。。。。(涙)


(だから わたしママと彦名さんに相談して 新しい人生を 離れたところで静かに暮らし始めたいって伝えたの(涙)

(わたし達親子2人で 絶対に生き抜いて東堂さんの力は借りず心配かけず、その時が来たら逢いに来てくれれば 必ず立派な姿をお見せします!って、。。。)

(彦名さん そしたら 自分が東堂さんには責任を持って説明するって言ってくれたの)



アキラはなにも言わず歯を食いしばり 目にいっぱい涙を溜めていた。。。。。


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