真面目系司法書士は年下看護学生に翻弄される


「でも林さんがああ言って下さったので、大家さんの焦った顔がおかしくって」

林さんのマンションに戻って優菜は声を出して笑っている。

「笑い事じゃなくてこの先の事を、君はもっとちゃんと考えなくてはならないよ」

林さんは少し怒った様子で、ため息をついた。

「以前から、若い子が一人で住んでいるのが気に食わないらしく大家さんから嫌味を言われていました。だからなんだかすっきりしました。先のことはちゃんと考えているので大丈夫です」

なるべく平気そうな顔で、林さんに心配をかけないように優菜は答えた。

林さんは、君は若いのに苦労しすぎたと深いため息をついた。

杏奈は鍵を直して少しの間はアパートにまだ住むつもりだった。けれどあの大家さんの態度を見ると不可能だろう。

あのアパートは保証人もいらず家賃も安いので助かっていたが、治安の悪い場所にあり、若い女性の一人暮らしには不向きだった。


愛人になって中谷さんの家に引っ越すことができれば、そしてちゃんと月々の手当てが入ってきたら、この厄介な状況からなんとか抜け出せる。

そして半年後、新たな環境でナースとして一からやり直そうとと考えていた。


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