真面目系司法書士は年下看護学生に翻弄される
『風邪がうつるといけないので』という理由で、優菜は自分の部屋で寝ることにした。
マンションか寮かどちらにするかの返事は、少し待ってほしい。まだ決めかねていると伝えた。
林さんは『急いで結論を出さなくていいからね』と言ってくれた。

別々に住んだとしても勤務する病院は近いし、いつだって会える。ここにいつでも来てくれて構わないと。

試験が終わると、ほとんど学校へ行く必要がなくなった。空いた時間で優菜は色々考えることができた。

自分が自己中心的な考えしかできなかったことに後悔した。
人に甘えて、勝手に生活の面倒まで見てもらおうとしていた。
結婚もしていない、プロポーズされたわけでもない林さんに、将来を約束させるような自分勝手な考えで先のことを決めてしまっていた。

林さんは私と結婚しようと思ってない。
もしかしたら体の関係はあっても、自分は恋人の立場ですらないのかもしれない。

そもそも告白されただろうか?彼に付き合おうと言われただろうか、今更ながら言葉で何一つ確認していないことに気がついた。

今日はいつにも増して体調が悪かった。度々トイレに駆け込んでしまい、さすがに、何か変なウイルスにでも感染したのではないかと心配になってきた。

病院へ行くことにした。仮にも看護師になろうとしている人間が自分の体調管理もできないなんて……

そう思うと途端自分が最低な人間におもえてくる。







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