Re:スタート
「夢を叶えてもらうには別れるしかなくてっ。それで……、」



最悪な別れ方だった。

一方的すぎる別れだとは思っている。

だけど、ああやって突き放して、悠を傷つける以外に方法が思い浮かばなかった。

他に好きな人ができたって言えば、悠は別れてくれると思ったから……。


私と別れたら、連絡の頻度なんて考えなくてもいいでしょ?

私と別れたら、自由な時間が増えるでしょ?

私と別れたら、悠は自分の夢だけに集中できるでしょ……?


最後までワガママで自分勝手な私でごめんね……。



「本当に、それでいいの?」



瑠奈が問う。

私の目を真っすぐに見つめる瑠奈。

その目に、私の気持ちが揺らぎそうになったけど。

でも。



「これでいいの。もう、戻れないから」



あんな振り方をしておいて、もう一度悠と付き合いたいなんて都合がよすぎる。

悠は今頃、私に対して怒っているはずだから。

これでいいんだ。


……全ては、私と悠のため。

これでよかったんだよね……。


口を閉ざした私に、それ以上、瑠奈は聞いてくることはなかった。
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