Re:スタート
そして、ギターの音が響き、歌声が聴こえ始める。

悠の、悠のギターだ。

歌声も変わらず優しいままだ。

歌詞に耳を済ませれば、蘇ってくる悠との思い出。

そして声を震わせ歌う悠。

その姿に、私は引き込まれていた。


私は泣いていた。

悠も泣いていた。


悠……。

私の自惚れじゃなかったら、今でも私を想い続けてくれているってこと……?

そう思うと切なくて、だけど、どこか温かい涙があふれる自分もいた。



「深山さん」



坂本さんがそっと、ハンカチを差し出してくれる。

私は柔軟剤の香りがするハンカチを受け取り、涙をぬぐった。



「この子が、前に話していた“磨けば光る原石”だよ」

「彼が……?」

「そうだよ。本当に、光を放って現れたね」

「……はい」



届いたよ。

悠の歌が届いたよ。

私、ちゃんと聴くことができたよ。

悠がステージの上で歌っている姿、画面越しでも見ることができたよ……。
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